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極私的プロレス観戦論

新日の未来を決める棚橋海野戦

NJC一回戦で棚橋 海野が組まれた。

全カード中一番注目のカードであり一番注目されないカードだ。

中には棚橋過保護カードなんて言う向きもある。

しかしこれは棚橋による海野のヤングライオン卒業試験だ。

ここぞという時には必ず対角線には棚橋が優しく微笑んで立っていることは

以前書いた。

そのここぞが海野だ。

 

海野は昨年のワールドタッグ完走。

鷹木、ザックとシングル戦。

タカタイチ興行参戦。

イビサナと2度のタッグ戦。

ここへきてヤングライオンの枠を超えた大抜擢が続いている。

トップレスラーが出す技の耐性がついたと判断された結果だ。

ケガなくここまできている。

まだ大金星はないが現時点で勝った負けたは問題にならない。

身体のスケールもシリーズごとに見違えるように大きくなっている。

誰が見てもヤングライオン卒業の時期が近いのは明白だ。

 

そして現代プロレスのキングメーカー棚橋が海野の前に立つ。

他団体の選手である宮原、関本さえも自身の団体の面子を無視して棚橋と試合をすることに対して喜びを隠さない。

なんだか人間国宝級になってきたここ最近の棚橋である。

ギリギリ現役感を維持している棚橋との対戦はこれが最初で最後になる。

海野が海外武者修業に行っている間、棚橋のコンディションは待ってはくれまい。

膝の状態は見た目以上に深刻だ。

次に海野が棚橋と対戦するときはもうハイフライフローは出せないかもしれない。

それがわかっているからこその海野戦だ。

 

新日は今過渡期を迎えている。

棚橋がオカダとタッグを組み持続中ということは現場のリーダーはオカダを指名したとみていいだろう。今の棚橋のポジションにオカダが座る。

棚橋はジャニーズのタッキーのような総合プロデューサーみたいになっていくのかもしれない。

そして今までのオカダのポジションに座るのが海野だ。

棚橋   オカダ   海野  の絶対的ベビーフェイスラインの完成だ。

先を走るジェイとオスプレイ  に海野が加われば

20代のイケメントリオが新日マットに揃い棚橋が開拓した女性ファンを引き継ぎ

新しいファンも開拓できる。

ジャニーズもアラフォーアイドルの整理が始まったようだしプロレス界も見習わないといけない。

新陳代謝は必要だ。

 

棚橋自ら出陣の最終テスト。

棚橋の薫陶を試合で直接受けることができる。

 それも勝ち負けがはっきりとかかっている試合。

そこで棚橋は海野に試合を通してどんなメッセージを送るのか。

棚橋はどんな技を与え、どんな表情を向けるのか。

それは棚橋が今後どのようにレスラーを育成していくかのヒントがみえるかもしれない。

 必ずや何年後かに新日の未来を決めた試合と言われるはずだ。

 

 海野が海外遠征に出れば帰って来るのは

オリンピックイヤーだろう。

それまではオカダと海野の世代ギャップはジェイとオスプレイが埋める。

華々しく帰国した海野を待っているのは再び棚橋になるのか。

それともその役目を引き継ぐだろうオカダになるのか。

ニ冠統一王者として内藤が迎え撃つのか。

 

海野がメインに立つにはまだ長い時間がかかる。

3月10日尼崎で棚橋がその長い道のりの入り口に立って待っている。