marico world order

極私的プロレス観戦論

いつも対角線には棚橋が立っている

24歳のオカダが凱旋帰国した時ブーイングの嵐だった。

誰もそんな若者を認めなかった。

ただ1人胸をかすように何度も棚橋はオカダと戦った。

 

内藤がメキシコから帰国した時、大ブーイングだった。1人でグレていた時、何度も戦ったのも棚橋だった。

 

ジェイが帰ってきた。

大ブーイングを浴びるジェイと4度も戦ったのはやっぱり棚橋だった。

 

オカダも内藤も棚橋には言いたい放題。時代遅れ、引退しろ、後はまかせろ、ボロボロにけなした。

しかし棚橋はオカダ内藤のことを悪く言わない。あの優しい笑顔でウンウンと頷くばかり。

ジェイもタナ、タナと突っかかるが、棚橋はまたにこやかに頷きジェイを否定しない。

 

オカダは棚橋と戦うことでレスラーの厚味を増しオカダの凄さをまわりに伝えた。

棚橋は内藤の会社批判を一切規制しなかった。挙句に内藤の言うことは

もっともで反論できないと言う。

棚橋のおかげで内藤の正当性がファンに認知された。

内藤ののらりくらりしたファイトスタイルに他のレスラーが苛立つ中で

棚橋は内藤のやり方を今まで違うと楽しそうに語った。

棚橋と戦うことで内藤はファンの支持を得て今の人気をつかんだ。

凱旋帰国して棚橋にドームで挑戦したジェイは観客に笑われていた。間の悪さとぎこちない技のつなぎに。

この一年棚橋と戦うことで今では真壁やミラノ、金沢氏に巧いと絶賛されるまでになった。

ここまで相手をけなさないレスラーを今まで見たことがない。

相手の長所を生かして闘うレスラーは強いてあげれば藤波ぐらいか。

 

棚橋が出す技はとても少ない。

相手が攻め込むシーンが多く棚橋ファンの悲鳴が多い。

棚橋から何かを仕掛けることがない。

相手が動かないと試合が成立しない。

棚橋自ら受けることの大切さを教えているみたいだ。

棚橋が相手に試合の組み立ての試験をしているかのようにも見える。

合格するまでオカダも内藤もジェイも何度も追試を受けているかのようだ。

 

内藤の時も、ジェイの時もいきなり棚橋が復活して最前線に戻る。

棚橋が彼らのスタイルを何回もテストするために無理矢理戻っていく。

太陽は沈まないとかエースは棚橋とかストーリーを付与しながら。

そしてまた棚橋とやるのと言われるくらい連戦する。

その結果合格したオカダはケニーと。内藤はジェリコやタイチと戦いオリジナルの試合を見せていく。

合格したジェイはこれから自分の世界観を作り見せていくことになるはずだ。

 

棚橋はレスラーの育成方法でも革命を起こした。

コーチになってもいい選手をたくさん育てるだろう。

棚橋コーチならレスラーになりたいという若者が増えるかもしれない。

将来、柴田門下生と棚橋門下生が闘うカードが見てみたい。

 

次は誰をテストすることになるのだろう。

オーカーンか海野か。それともヘナーレか。