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極私的プロレス観戦論

二階席から見たイッテンヨン

スタンドA 前から5列目。40ゲート 入り口は1。

二階スタンドはよく入っていた。上の方までビッシリとはいかないまでも満員。

これは4万人超えた?と思ったが後で見ると2千人ほど足りなかったみたいだ。

ここ4年間ではいちばんだ。

やっぱり歓声の大きさが違う。

 

ドームがひとつになってコールが起きたのはオカダだ。

ジェイのヒール色がここまでよく浸透していた。外道がいるのもわかりやすい。

オカダが勝つとたかをくくっていた観客。

後ろのおしゃべりおじさん2人組もオカダ勝利ブック説を大きな声でひけらかしていた。

ジェイを吹っ飛ばしてほしいという願いがきれいなオカダコールを生んだのだろう。

オカダが負けた瞬間。ドームが水を打ったように静かになった。

まさに明鏡止水の時間が訪れたときだった。

幽玄の世界とも言い換えてもいいか。

隣に座っていたオカダファンらしき妙齢な婦人が娘と思われる女性の腕に顔を背けた。

後ろのすべての言葉がどこかで聞いた借り物べらべら親父コンビもさすがに言葉が出ない。

静かだ。

ドームがここまで静寂な空気に包まれたのはいつ以来だろう。

この日のベストバウトはドームの二階席のてっぺんまで支配したオカダジェイ以外にはありえない。

あそこまで観客を黙らせることができたオカダ敗北。

負けることでオカダは38000人以上の観客をすべて支配した。

 

オカダ敗北が陰なら内藤勝利は陽。

昨年の大内藤コールには及ばない。

試合中もそこまで内藤コールはおきない。

期待感の薄さ。インターコンチの軽さ。ジェリコへの感情移入の難しさ。

昨年の一緒に夢をのせた内藤ではないからか。

場内はそこまで熱くはならない。

内容もいろいろ道具をだしてメリハリがついたが

お笑いの物ボケの域を出ない。

 

だが最後の危ない場面で内藤も負けるのかと引きつけて

そこから逆転勝利はドームが揺れた。

二階席は両手をあげてガッツポーズする観客。

内藤勝利に雄叫びを上げる観客。

後ろの席で無駄な知識を大きな声で垂れ流してまわりの迷惑も顧みない2人組30代親父コンビも内藤の勝利には素直に喜びの声をあげた。

内藤勝利の喜びはオカダ敗北を受けてオカダのぶんまで喜びを二重に爆発させた結果だ。

最後の最後で内藤はきっちりドームを手のひらの上にのせた。

 

この2つの試合と比べるとそれ以外は他の試合というくくりになってしまう。

どの試合も内容はよかった。ケチをつける隙は無い。

関心の低さではジュースCody 戦。トイレタイムカードになっていたが長い興行なので息抜きカードは必要だ。

ジュニア戦も地味だった。ヒロム不在の寂しさがドーム内に漂っていた。

 

メインの棚橋ケニーも盛り上がっていたわけではない。

大ケニーコール、大棚橋コールは最後までかなわず。

最後まで棚橋の悲壮感に覆われた試合だった。

このカードではドームの一体感は出なかった。

 

2019 イッテンヨンは

オカダが負けた瞬間の静寂。

これに尽きる。

 

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