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極私的プロレス観戦論

言霊プロレス 序文

言葉とプロレス。

切っても切れない関係だ。

 

こんなプロレスをしていたら10年持つ体が1年持たない。

 

初めて世間にプロレスラーの言葉を届けたのは猪木だろう。

 

はじめに猪木の言葉ありき。

 

その後も新日本プロレスという土壌からは言葉を数々の技と同価値に駆使するレスラーが現れる。レスラーだけではない。アナウンサー、作家もここから育つ。

新日本出身者の著作も数多く出版された。

 

寡黙を美徳とした馬場全日本とは対照的だ。

 

時として言葉は霊力を持ち言霊となり新日本を時代の寵児に押し上げ、反面その言葉の呪縛から逃れられず経営危機まで追い込まれた。

 

言霊を自在に操ることができるレスラーがメインイベンターの資格を得る。

どんなにビルドアップされても

どれほど道場で強くても

それだけではトップに立つことはできない。

他のスポーツなら心技体だけで十分だろう。

しかしプロレスは言葉がここに加わる。

心技体言  とでも言っておこうか。

 

日本は太古から言霊の国だ。

言霊信仰の国。

言霊の国で展開されるプロレス。

言霊プロレス。

 

SNSを筆頭に今ほど言葉が溢れている時代はない。

誰もが好きな時に好きなだけ言葉を製造できる。

一瞬にして埋もれてしまうほどの膨大な言葉が24時間休みなく大量生産されている。

今生まれた言葉は一瞬にして陳腐化する。

以前よりも言葉は短命だ。

言葉狩りに象徴されるように外敵も増えた。

言葉にとって恵まれた時代でもあり受難の時代とも言える。

 

淀みに浮かぶうたかたは かつ消えかつ結びて久しくとどまることなし。

 

今年はレスラーからどんな言葉が出てくるだろうか。

そしてその言葉で時代を変えることができるだろうか。

猪木ゆずりの新日本言霊の力は来年ドーム2連戦をいっぱいにできるだろうか。