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極私的プロレス観戦論

プロレスブックレビュー その2

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今から2年前の11月に出版。小川橋本戦をきっかけにどん底に落ちていく新日本プロレス。最悪のときは観客200人なんてことも。

ユークスブシロードとプロレス好きなオーナーの助けで持ち直すことができたことが書いてあります。

プロレスファンなら猪木が新日に仕掛けた一連の流れとその後のレスラーの離脱は、それまでのプロレスを裏切りファンに失望を与えたこととして記憶に刻まれていることでしょう。

総合で勝てないプロレスラーは強さの象徴を失いました。そこから去ったファンは多かったでしょう。プロレスに嫌気をさして会場から遠ざかっていったファンのひとりが僕でした。小川橋本戦をドームで観戦して以来まったくプロレスを観戦することはなくなりました。この本を読むと暗黒時代と自分がプロレスを見なくなったときとピタリと一致します。愛想を尽かしたファンを呼び戻してくれたのは、木谷高明でした。彼の戦略により新日本プロレスは再び息を吹き返します。

棚橋、中邑の二枚看板で人気を回復していきます。今の人気につながるための欠けていたピースが2012年1月に揃います。オカダです。本書では棚橋中邑オカダの3人にスポットを当てて書いています。プラス飯伏です。

この頃は、まだ中邑は離脱してません。内藤にいたっては122ページに一回しか出てきません。

木谷オーナーのメディア戦略やプロレスへのスタンスがわかります。今まで背広組とレスラーは常に分裂してきました。僕も猪木が退いてユークスブシロードと変わったとき長続きしないだろうと見ていました。

プロレスファンには、メガネスーパーUWFの神社長と前田たちレスラーとのゴタゴタというトラウマがあるのです。

しかし、新日本プロレスは見事に近代化できました。

読んでいていくつか謎が解けたことがあります。しばらくぶりにプロレス観戦するようになって疑問だったこと。それは、以前と違って後楽園ホールでの試合がやたらと多いと思ってましたが、それにはきちんとした理由がありました。

また新日本プロレスには、以前みていた時にあった前座やトイレタイム試合がないこと。第1試合からメインまですべてがメイン級でスピード感があり飽きない。前は、メイン以外は退屈で寝てしまうこともありました。今も他団体はこんな状況ですが、新日本プロレスはずいぶん洗練されたなと思ってました。ここにも

木谷オーナーの考えが反映されていました。他にも細かいところで前とは違うことがありましたが、この本を読み氷解しました。

プロレスファン代表のような木谷オーナー。あの両国で内藤が木谷オーナーの名前を出したとき、ファン冥利に尽きたのでないでしょうか。

そんな気がするくらい木谷オーナーからはプロレス愛を感じることができた一冊でした。