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極私的プロレス観戦論

コロナで狂ったシナリオ

コロナ騒動のおかげでジェイがしばらく来れない。リーダー不在のバレットクラブ外道が選んだシナリオが今回の裏切り劇だ。おそらくドーム4強プラスオスプレイで二冠戦を回すはずだった。

しかしコロナで全てが狂った。

ヒール不在。

ジェイ、ケンタに次いで柳の下の

三匹目のドジョウになったイーボー。

ジェイかケンタのどちらかが国内にいればイーボーのクラブ入りはなかった。

結果はベルト戴冠。ケンタ、タイチ、飯ブシ、みのる、サナダには決して巻かせなかったベルト。日本人でヤングライオンからの獅子の血が流れてないものには、ヘビーのベルトは巻くことはできない。

長い歴史で巻いたものは、天龍と高山だけ。高山が巻いたのはもう17年近く前。

なればこそ

現状ヘビーと血の両方を兼ね備えたレスラーはイーボーのみである。

一夜にしてオカダ、内藤と同格になったのである。

しかし

反則、乱入だらけの内容は、オカダ内藤には勝ったが追い風参考記録扱いだ。

オカダ内藤と外道との妥協の産物であるのは推してはかるべくもない。

プロレスの教科書を開けば、何度も使われてきた古典的成り上がり手法として今回と類似したケースを見つけることができる。昭和プロレスの生き残りの外道が

冬木が演出したFMWマットのコテコテした演出が忘れられないのだろう。さらに最後のピースが東郷とあれば、今回の

演出の限界が見える。いっそのこと海援隊復活ぐらいしてほしかった。ハヤシ、タカはまだ動けるようだから。

 

そう考えるとイーボーのダブルクロス劇のチープさが浮き彫りになる。

 

イーボーのミスは、既存のユニットにおさまったこと。

パレハが東郷であること。

無名でも若さがほしかった。

リングネームを変えなかったこと。

彼は何ひとつ新しいものを生み出していない。

レスラーは自己プロデュース力だ。

イーボーは、内藤から外道の船に乗り換えただけで実は何も変わっていない。

 

そして最大のミスは、ヒロムのアピールに何ひとつあの場で返せなかったこと。

東郷がいるにも関わらずだ。

東郷もヒロムという異次元に飲み込まれた。

ヒロムに完全に喰われた。

自己プロデュース力の塊りのヒロムにはさすがの外道たちも太刀打ちできなかった。

 

アドリブだらけのヒロムの異様な光に照らされて今回のシナリオが透けて見えてしまった瞬間だった。

 

イーボー前途多難。

 

 

 

強引なシナリオはいつでも違和感しか残らない。

自由な乱入。

同じパターンのレフリー誤爆

始めから内藤が負けるように仕組まれていたと言われても仕方ないアバウトな展開。

いつもアラが見えてしまうのは、

なかなか是正できない。

エンターテイメントの精度をもっと上げていただきたい。

いちばん不可解なのは、フィニッシュ前に海野レフリーがイーボーの手の届くところにいたことだ。

今回の試合のキモは海野レフリーの立ち位置であった。

これが流れであの位置にいたようにみせるテクニックは、彼をミスター高橋、タイガー服部、ジョー樋口和田京平と肩を並べる名レフリーと言っても差し支えあるまい。

レフリーの裁量ひとつで内容は変わる。

後藤、棚橋、みのるをベルトに絡ませず

今が身体的に旬のイーボーを指名。

時間の針を戻さなかったのは流石だ。

チャンスをもらったイーボーがどう生かすだろうか?

メイクを落としてもコスチュームを変えてもどこか優しさが表情に見えてしまう。まだトップレスラーの顔にはなっていない。

それは、新パレハとして登場した東郷の

顔と見比べれば一目瞭然だ。

トップレスラーの貌とはこういうものだ。イーボーにいちばん欠けていることをこれから東郷が教えていくのだろう。

そのために外道があえて50を過ぎたレスラーをコーチとして呼んだのだから。

今のイーボーの顔が

トップヒールの貌に変わっていく過程を

楽しみにしよう。

 

おい、内藤!

許してもらいたいなら

オレの股をくぐれ!

 

かつて東郷たちが放ったタイトなアングルを内藤にも放つことができるだろうか?