バルタン星人
鈴木みのるが自分の役回りをバルタン星人にたとえた話が忘れられない。
ウルトマンシリーズの中で最高の敵役。
彼がパンクラスから退きプロレスに戻ってから今もメインで一回り以上下の内藤、オカダの相手に指名されるのはその揺るがない立ち位置だろう。
徹底したヒール像。
観客を汚い言葉で突き放す。
コンセプトはヤンキー集団。
もうひとつ余談だが
高山が彼に与えたアドバイス。綺麗な受け身はみのるにはいらない。
ぎこちない固い棒のような倒れ方をみるたびに思い出す。
師匠である藤原によく似ている。
そのたたずまいはまた今度。
やはりみのるは猪木に憧れた永遠のプロレス少年なんだろう。
みのるの狂気じみたマットさばきに
シンの匂いを感じないだろうか。
彼のファン、マスコミへの排除の様子にアンドレの憂鬱と重ならないだろうか。
会場が静まる暗く冷たいオーラに死神パワーズの面影を見ないだろうか。
あの日あの時同じ時代の流れの中で
プロレスに浸っていたみのるに猪木プロレスをみる。
猪木がIWGPを立ち上げる前のプロレス特有の暗さをみのるは持っている。
(UWFも暗かった)
この暗さが今の新日の明るさを際立たせている。
棚橋、オカダ、内藤の明るさはみのるの暗さを通すからよくわかる。
みのるにしか表現できないスタイル。
おそらく真のヒールレスラーを体感できるのは鈴木みのるが最後になるはずだ。