marico world order

極私的プロレス観戦論

鈴木みのる 対 オカダ

ワールドをみながら

この試合と天龍の引退試合が重なった。

天龍に選ばれたオカダ と

選ばれなかったみのる。

みのるは世代的には天龍の世代の下の下。

闘魂三銃士の次の世代。第3世代の年齢に入る。

 

閑話休題

闘魂三銃士 

最初聞いたときはセンスないなと思ったが

橋本たちがブランド力をつけた。

新闘魂三銃士なる名前が出てきたときは柴田たちも迷惑だったろう。

第3世代は味も何にも無いネーミングで今もってその不遇さを醸し出している。

 

「横浜 引き分け」から猪木 藤波へのオマージュのように語られるこの試合。

 

でも、実はみのるは天龍だったのではないか。

と、僕は思う。

みのると猪木は遠すぎる。天龍なら近い。

4月の柴田は確かに猪木だったろう。

(正確には柴田が父から伝え聞いた猪木)

みのるは本当に猪木だったのか?オカダが藤波だったのか?

オカダの前に、全盛期に近い天龍が立ちはだかったのではないかと思う。

 

 

猪木 天龍 馬場 が自分と同じ時代でなくてよかったですねと言い放ったオカダ。

オカダが触れたのはもうリングに立っているのがやっとの天龍だった。

 

天龍の引退試合。そこにあと15年若い天龍がオカダと試合をしていたら

どんな展開になっていただろう。

両国でオカダに全盛期に近い技を繰り出す天龍の幻影を見ながらあの試合を見た

オールドファンは少なくないはずだ。

オカダに延髄切りを放ち トップロープからエルボーを落とし 卍固めでしめつける。

そして鶴田さえも沈めたパワーボムをオカダに決める。

しかし目の前にいる天龍はもう僕の知っているレスラーではなかった。

オカダに爪痕をひとつも残すことができなかった。

猪木 天龍はそんなレスラーではない。

あのオカダの一礼を見たときそれはそれですがすがしさ残った反面

悔しさが心の中に浮かんだ。

 

みのるとオカダの試合を見ていて猪木よりも天龍とだぶって見えた。

きっと49才の天龍がオカダと試合をしたらこのぐらいの試合をしただろう。

みのるの張り手の厳しさは天龍のチョップと顔面キックを彷彿させた。

猪木はああいう試合展開はしない。

もっと一方的につぶすだろう。

みのるがオカダに負けなかったことで僕の天龍の引退試合での悔しさは消えた。

 

勝ちにいかなかったみのる。

締め落とすことはできただろう。でもしなかった。

30分戦っていたかったのかもしれない。

おそらくオカダとのシングルはこれで最後になるだろう。

G1も来年は出ないだろう。

ある意味 みのるも引退試合にオカダを選んだのかもしれない。

何を思ってオカダと戦っていたのか。

何を背負って戦っていたのか。

 

猪木と天龍と鈴木みのる

またオカダにひとつ引き継がれた。